太ももの痛みや不調で良く見られるのが、裏モモ(ハムストリングス)や前モモ(大腿四頭筋)の肉離れがあります。本来、裏モモ筋はアクセル筋、前モモ筋はブレーキ筋としての役割があります。しかし、太ももに痛みや不調がある方は、常にブレーキ筋である「前モモの大腿四頭筋が優位」になっていることが多いです。歩行で前方へ歩きたいのに前モモ筋が常に働いており、身体にブレーキをかけながら歩いている状態です。ブレーキを掛けながら自転車を漕いだら身体にかかる負担が大きくなりますよね。これと同じ状況が身体に生じています。そのため、前モモ筋に過剰に負担がかかり筋損傷が生じ痛みや不調が見られます。最悪の場合は肉離れが生じます。
また、前モモ筋が優位な状態では、アクセル筋である裏モモ筋(ハムストリングス)は働いていない状態になり、柔軟性の低下や筋力低下などを呈します。この状態で、裏モモに強い筋力が必要な場面に遭遇すると、ハムストリングスは筋力に耐えきれず損傷してしまい、最悪の場合に肉離れを起こしてしまいます。
このように、太ももの痛みや不調は、前モモ筋と裏モモ筋のバランスが崩壊しており、前モモ筋の過剰使用(過用)・裏モモ筋の不使用(廃用)が生じます。この過用と廃用は太ももの筋膜機能異常が生じ、腰痛や股関節痛など、さらなる全身の痛み・不調につながります。多くの場合、アクセル筋とブレーキ筋のバランスを整えると、歩行が楽になり、身体のあらゆる痛みが楽になることがあります。試しに、右手で右側のお尻を上方向に持ち上げながら歩いてみて下さい。右足が軽くなりませんか?これはアクセル筋が優位に働いている状態で、身体にブレーキを掛けていないから足が軽くなるのです。